エンジニア1年目で本番障害を起こした…クビ?弁償?未経験で入った人が翌日からやること【2026年版】
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未経験でエンジニアになって1年目。本番環境で障害を起こしてしまい、「クビになるのでは」「損害を弁償させられるのでは」と眠れずにいる人に向けた記事です。
先に結論を書きます。1回の障害で解雇や全額の弁償になることは、通常ありません。 厚生労働省の労働判例サイトも、業務上のミスで労働者が当然に賠償責任を負うわけではないと整理しています。翌日からやることは、事実を正直に報告し、再発しない仕組みを一緒に考えることです。この記事では、当日〜翌日の動き方、報告書の書き方、弁償を求められたときの考え方、辞めるかどうかの判断を順に整理します。
1回の障害でクビになることはまずない
本番障害は、経験の長いエンジニアでも起こします。障害を「個人のミス」ではなく「仕組みの穴」として扱う考え方は、IT業界で広く共有されています。
Googleが公開しているSRE(サイト信頼性エンジニアリング)の書籍には、障害の振り返りを「誰も責めない形(ブレームレス)」で書く文化が紹介されています。犯人探しをすると、次から障害が隠されて会社全体が危なくなるからです。
1年目の人が本番で障害を起こせた時点で、レビューや確認の仕組みにも穴があったことになります。1年目の作業が誰のチェックも通らずに本番へ出る状態は、会社側の管理の問題でもあります。
解雇のハードルは高い
日本では、会社が社員を解雇するには客観的で合理的な理由が必要です(労働契約法16条)。故意や重大な過失がない1回のミスで解雇が認められる可能性は低いです。
ただし、試用期間中は本採用の判断が通常より広く認められる面があります。試用期間の扱いは試用期間で本採用されないケースの記事で整理しています。
当日〜翌日にやること
障害の直後に一番大事なのは、隠さないことと、早く伝えることです。復旧作業に加われなくても、自分がした操作を正確に伝えるだけで復旧は早くなります。
当日にやること
- 自分が実行した操作・コマンド・時刻を、覚えているうちにメモする
- 上司やリーダーに「何をしたら何が起きたか」を事実だけで伝える
- 指示があるまで、自己判断で追加の操作をしない
焦って元に戻そうとして、2回目の障害を起こす例は少なくありません。勝手に直さず、指示を待つ判断が正解です。
翌日にやること
翌日は、謝罪を1回はっきり伝えます。そのうえで「再発防止に自分ができること」を持って相談に行きます。何度も謝り続けるより、次に同じことが起きない形を一緒に作るほうが信頼は戻ります。
障害報告書の書き方
障害報告書は、反省文ではありません。読み手が知りたいのは、何が起きて、なぜ防げず、次にどう防ぐかです。
報告書に書く項目
- 発生日時と、影響が出た範囲(どの画面・何人の利用者に)
- 自分が実行した操作と、その順番
- 気づいたきっかけと、復旧までの流れ
- なぜその操作が本番で実行できたのか(確認や権限の仕組み)
- 再発防止策
再発防止策は仕組みで
「次から気をつけます」は再発防止策になりません。人は疲れていると同じミスをするからです。仕組みで防ぐ案を書きます。
- 本番作業は手順書を作り、2人で読み合わせてから実行する
- 本番環境のターミナルは背景色を変えて、検証環境と見分ける
- 1年目の本番作業には、レビューと承認を必須にする
- 削除や上書きの前に、バックアップを取る手順を入れる
自分の不注意も、事実として1行書けば十分です。自分を責める言葉を何行も並べる必要はありません。
弁償や給与天引きを求められたら
会社から「損害を払え」「給料から引く」と言われた場合は、その場でサインや同意をしないでください。労働者のミスによる損害は、全額を本人に負わせることが認められにくいからです。
判例の考え方
最高裁の茨城石炭商事事件(昭和51年)は、会社が社員に請求できる範囲を「損害の公平な分担」の範囲に限りました。事業の性格や労働条件、会社の予防策や保険の有無などを総合して判断する考え方です。この事件では、請求は損害の4分の1までとされました。
IT業界の例もあります。エーディーディー事件(大阪高裁 平成24年)では、ソフトウェアの不具合で取引が減ったとして、システム開発会社が現場責任者に賠償を求めました。裁判所は会社の請求を認めていません。故意や重大な過失のない、通常ありうるミスや取引上の損失は、会社が負うべきリスクだと判断されています。
会社がしてはいけないこと
- 違約金や損害賠償の額をあらかじめ契約で決めること(労働基準法16条で禁止)
- 本人の同意なく、給料から一方的に損害分を引くこと(労働基準法24条の賃金全額払いの原則)
請求や天引きの話が出たら、日時と相手と言われた内容をメモに残します。そのうえで、最寄りの労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談できます。相談は無料です。
続けるかは障害後の会社の反応で判断
辞めるかどうかは、障害を起こした事実ではなく、障害のあとに会社がどう動いたかで決めます。下の表は、ここまでの内容を会社の反応ごとにまとめたものです。
本番障害 | 会社の反応
障害のあと続けていい職場か
ミスの大きさより、会社の扱い方で判断します
| 責任の置き場所 | 1年目の育ち方 | 続けるかの目安 | |
|---|---|---|---|
| 仕組みで再発防止 レビュー追加・手順書化 | ○ チーム全体で持つ | ○ 経験として積める | ○ 続けてよい |
| 本人の反省文だけ 仕組みは変わらない | △ 本人に寄りがち | △ 同じ穴が残る | △ 様子を見る |
| 弁償・天引きを要求 同意を迫られる | × 本人に押しつける | × 挑戦しにくくなる | × 相談と記録を優先 |
- ※弁償や天引きの要求が出た時点で、労働基準監督署などへの相談を考えてください
- ※個別の事情で判断は変わります
IT転職ナビ
続けてよい職場のサイン
障害のあと、レビューの追加や手順書づくりなど仕組みの話が出る職場は、1年目を育てる力がある職場です。今回の障害は「本番作業で何を確認すべきか」を体で覚えた経験になります。面接で失敗経験を聞かれたときにも、再発防止まで含めて話せる材料になります。
離れることを考えてよいサイン
次のような状態が続くなら、職場を変えることも選択肢です。
- 障害のたびに個人名を出して責められ、仕組みは何も変わらない
- 弁償や給与天引きへの同意を求められる
- 1年目なのに、レビューなしで本番作業を一人で任され続けている
3つ目は、また障害が起きるのを待っている状態です。自分の注意力だけで防げる問題ではありません。
「向いていない」と決めるのは早い
1回の障害で「エンジニアに向いていない」と決める必要はありません。向き不向きは、日々の作業で何がつらいかで判断します。迷う人は、エンジニアに向いてないかもと感じたときの記事で、適性の確かめ方と別の職種を整理しています。
迷ったときの社外の相談先
障害のショックが大きいと、残るか辞めるかを一人で決めるのは難しくなります。社内の人には話しにくいことも多いので、社外の人と整理するのも一つの方法です。
自分の強みや次の方向を整理したい人は、IT/Web転職タイプ診断(無料)で今の経験が活きる方向を先に見ておくと、相談で話すことが決まります。
キャリアの方向そのものを人と話して整理したい人には、キャリア相談サービスがあります。POSIWILL CAREERは、転職先の紹介ではなく、今後の働き方を一緒に整理する有料のキャリアコーチングです。最初の相談は無料で受けられます。有料プランの提案を受けることがあるので、料金と内容を聞いてから決めてください。
すぐに転職を決める必要はありません。会社の反応を1〜2か月見てから判断しても遅くありません。
よくある質問
障害で会社に出た損害は、全部自分が払うのですか
通常は全額を払う必要はありません。判例は、会社が社員に請求できる範囲を「損害の公平な分担」の範囲に限っています。通常業務の中のミスでは、請求自体が認められなかった例もあります。故意や重大な過失がある場合は判断が変わるため、請求を受けたら労働基準監督署や弁護士に相談してください。
始末書を書けと言われました。断れますか
始末書の提出を命じること自体は、就業規則に定めがあれば認められる場合があります。ただし、始末書に「損害を弁償します」と書くよう求められたら、その一文は書かないでください。反省や経緯の説明と、お金の約束は別のものです。
障害を起こしたことは、転職のときに不利になりますか
1回の障害が転職で不利になることはほとんどありません。前の会社が個別の障害を転職先に伝える場面は通常ありません。面接で失敗経験を聞かれたときは、何が起き、どう再発を防いだかまで話せれば、評価の材料になります。
怖くて本番作業ができなくなりました
本番作業を怖がる感覚は、慎重さとして役に立ちます。手順書を作り、誰かと一緒に確認してから実行する形を、上司に相談して作ってください。慣れるまでは「確認役」から始めさせてもらう方法もあります。
まとめ
- 1回の本番障害で解雇や全額の弁償になることは、通常ない
- 当日は操作のメモと事実の報告、自己判断で追加の操作をしない
- 報告書は反省文ではなく、事実と仕組みの再発防止策で書く
- 弁償や天引きの話にはその場で同意せず、記録して相談する
- 辞めるかは、障害のあとの会社の動き方で判断する
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参考情報
- 厚生労働省 確かめよう労働条件「損害賠償」(労働判例)
- 労働新聞社 判例解説「エーディーディー事件」
- Google SRE Book「Postmortem Culture: Learning from Failure」
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、転職・収入を保証するものではありません。個別の労働問題は、労働基準監督署や弁護士などの専門家にご相談ください。