プログラミングスクール代は経費にできる?副業前・開業前の線引き
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プログラミングスクール代は経費にできる?副業前・開業前の線引き

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「プログラミングスクール代は経費にできる」。検索するとこの答えがすぐ見つかります。ただし前提は「副業や事業の収入と結びついていること」です。副業収入がまだゼロの人や、仕事を始める前に払った人は、同じ受講料でも扱いが変わります。

結論を先に書きます。副業をすでに始めていて、受講がその仕事に役立つなら、受講料は必要経費にできます。副業を始める前に払った受講料は、あとで副業を始めたときに「繰延資産」として少しずつ経費にする考え方があります。副業を始めなければ、趣味や自己投資と同じ扱いで経費にはなりません。

この記事でわかること:

  • 立場別(副業中・副業前・独立前・会社員のみ)の受講料の扱い
  • 副業収入が少ない年に経費を入れても税金がほぼ減らない理由と試算
  • 確定申告の前に残しておく書類と、税務署に確認すべき点

税金の扱いは個別の事情で変わります。この記事は国税庁の公開資料をもとにした一般的な整理です。最終的な判断は税務署か税理士に確認してください。

スクール代が経費になる条件

受講料が経費になる条件は「副業や事業の収入を得るために必要な支出であること」です。国税庁のタックスアンサー「No.1500 雑所得」は、副業の所得を「総収入金額 − 必要経費」で計算すると定めています。経費はこの「必要経費」に入るかどうかで決まります。

判断の目安は次の3点です。

  • 収入との結びつき:学んだ内容が、実際に受けている仕事や売上に使われているか
  • 時期:副業や事業を始めた後の支出か、始める前の支出か
  • 記録:領収書・契約書・カリキュラム・受講の目的を説明できる資料があるか

上位の解説記事の多くは「副業に関係すれば経費にできる」で終わっています。実際に迷いやすいのは、2つ目の「時期」です。副業を始める前に払った受講料は、扱いが変わるからです。

副業収入ゼロで払った受講料の扱い

副業を始める前に払った受講料は、そのままでは経費になりません。税務大学校の講演録が、このケースを検討しています。国税庁サイトで公開されている税大ジャーナル2024年3月号(岩﨑政明教授)です。講演録には「すべて執筆者の個人的見解」と明記されています。国税庁の公式な取扱いではない点に注意して読んでください。

講演録の設例は、会社員がプログラミングの専門学校に通い、その後に社外から注文を受ける副業を始めたケースです。要点は次の3つです。

  • 趣味の延長として自発的に学んだ場合、学費は「家事費」で、副業の経費に入らない
  • 副業や転職など新しい仕事に移るための学習なら、その後に始めた副業の「開発費」(繰延資産)に当たりうる
  • 副業を始めなければ、学費は家事費のまま

繰延資産とは、支払った年にまとめて経費にせず、何年かに分けて経費にしていく扱いのことです。講演録によると、開発費は原則60か月で均等に経費にします。まとめて好きな年に経費にできる「任意償却」は、所得税では開業費に限られると説明されています。

講演録はもう1つ大事な指摘をしています。1回だけ注文を受けて報酬を得ても、それだけでは「業務を始めた」とは言えない、という点です。副業として続けて受注している実態が必要です。

開業前に払った受講料と開業費

独立してフリーランスになる前の受講料も、自動的に「開業費」にはなりません。講演録は、国税不服審判所の裁決(平成13年6月25日・非公表裁決)を紹介しています。開業前の歯科医師が受けた研修費が争われた事例です。研修はすでに開業した人も受ける一般的な内容でした。そのため「開業準備のために特別に支出した費用」ではないとされ、開業費と認められませんでした。

プログラミングスクールに置きかえると、次のように読めます。

  • 誰でも受けられる一般的な講座の受講料は、開業費として認められにくい
  • 開業費は「事業所得」の事業を始めるための費用で、副業の雑所得には当てはまらない

「開業前の支出は全部開業費にできる」と書いている記事もあります。受講料については、この裁決の考え方を知ったうえで判断してください。

立場別に見るスクール代の経費計上

立場ごとの扱いを表にまとめました。どの行も「税務署がそのまま認める」ことを保証するものではありません。

プログラミングスクール代 | 立場別の扱い

受講料を経費にできるか(立場別)

国税庁の公開資料と税大ジャーナル講演録(個人的見解)をもとに整理

経費になる可能性経費にする時期
副業中(受注あり) 学んだ内容を仕事に使う ○ 必要経費にできる △ 受講した年。一括前払いは受講分のみ
副業を始める前に受講 その後に副業を開始 △ 開発費(繰延資産)の考え方あり △ 副業開始後に60か月で分けて
独立(開業)前に受講 事業所得の事業を開始 △ 一般的な講座は開業費に当たりにくい △ 内容により税務署に確認
会社員のみ・副業なし 転職のための学習 × 経費にはならない △ 特定支出控除は条件が厳しい
  • ※開発費・開業費の扱いは税大ジャーナル2024年3月号の講演録(執筆者の個人的見解)による
  • ※会社員の特定支出控除は勤務先またはキャリアコンサルタントの証明が必要

IT転職ナビ

一括払いした受講料の計上時期

副業中の人でも、受講料を一度に全額経費にできるとは限りません。税理士への相談サイト「freee税理士検索」に、2025年2月の質問があります。150万円の買い切り型講座について、3人の税理士が回答しています。

  • 高額なら資産に計上して何年かに分けて経費にする、という回答
  • 売上がない段階では前払いの扱いになり、すぐ経費にはできない、という回答
  • 講座数が決まっているなら、実際に受講した分だけ経費にする、という回答

3人の回答は細部で分かれていますが、「払った年に全額」を勧めた回答はありませんでした。1年以上かかるコースを一括で払った場合は、受講が進んだ分に合わせて経費にするのが安全です。

副業収入が少ない年は節税にならない

副業収入より経費が多くても、その赤字は給料の所得から差し引けません。国税庁の「No.2250 損益通算」が根拠です。赤字を他の所得と相殺できるのは、不動産・事業・譲渡・山林の4つの所得だけです。副業の多くが当てはまる雑所得の赤字は切り捨てになります。

受講料30万円の場合で試算しました。前提は、所得税率10%・復興特別所得税(所得税の2.1%)・住民税10%です。税率は所得によって変わるので、自分の税率に置きかえて読んでください。

ケース経費にできる額税金が減る額の目安
A:副業収入40万円の年に受講を終えた30万円約6万630円
B:副業収入10万円の年に30万円払った実質10万円まで約2万210円(残り20万円は効果なし)
C:副業前に受講→開発費として60か月で分ける年6万円1年あたり約1万2,126円

計算式は「経費にできる額 × 20.21%」です。20.21%は、所得税10%に復興特別所得税(10% × 2.1%)と住民税10%を足した値です。ケースCで副業を10月に始めた年は、経費にできるのが3か月分の1万5,000円になります。税金が減る額は約3,032円です。

副業1年目の収入が受講料を下回ると、ケースBと同じことが起きます。「スクール代を経費にすれば大きく節税できる」と考えて受講を決めると、期待との差が出ます。

帳簿をつけると事業所得になる場合

副業でも、帳簿をつけて保存していれば事業所得と認められる場合があります。国税庁は2022年10月に所得税基本通達を改正し、取引を記録した帳簿書類を保存していれば、おおむね事業所得に当たるとしました。記帳も保存もしていない場合で収入300万円以下なら、原則として雑所得になります。

事業所得になれば、赤字を給料の所得と相殺できます。ただし、帳簿があれば必ず事業所得になるわけではありません。改正後の通達も「社会通念上事業と称するに至る程度」かどうかで判断することを原則にしています。副業の規模が小さい人は、雑所得として考えておくのが現実的です。

会社員の特定支出控除という別ルート

副業をしていない会社員でも、「特定支出控除」を使える場合があります。国税庁の「No.1415 給与所得者の特定支出控除」によると、職務に直接必要な技術や知識を得るための研修費が対象です。条件は次の2つです。

  • 勤務先(給与の支払者)またはキャリアコンサルタントの証明を受ける
  • 特定支出の合計が、給与所得控除額の2分の1を超える

控除されるのは、2分の1を超えた部分だけです。年収400万円なら給与所得控除額は124万円で、その半分の62万円を超えた分しか控除されません。受講料30万円だけなら控除額はゼロです。

「職務に直接必要」という条件もあります。今の仕事と関係のない職種へ転職するためのスクールは、この条件に合いにくい支出です。今の勤務先の仕事でプログラミングを使う人は、勤務先に証明を出してもらえるか人事に確認してください。

確定申告の前に残しておく書類

経費として申告するなら、支出の中身を説明できる記録を残してください。次の5点をそろえておくと、税務署から質問されたときに説明できます。

  1. 領収書・振込記録:分割払いやローンの場合は契約書も
  2. カリキュラム:どの内容を学んだかが分かるもの
  3. 受講の目的メモ:どの仕事のために学んだか
  4. 副業の受注記録:学んだ内容を使った案件の契約書・請求書
  5. 受講期間の記録:一括払いを受講分だけ経費にするときに使う

分割払いやローンで払った場合、経費になるのは受講料の分です。ローンの手数料や分割払いの注意点はプログラミングスクールの分割払い・ローンは危ない?にまとめています。

給付金を使ったときの確認点

教育訓練給付金で受講料の一部が戻ってきた場合は、経費に入れる金額を税務署に確認してください。自分が実際に負担していない金額まで経費に入れると、申告の誤りになるおそれがあります。給付金の条件は未経験のITスクール、給付金・補助金で受講料はどこまで安くなる?で比べています。

副業所得20万円以下のときの申告

会社員で副業の所得(収入から経費を引いた額)が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則不要です(国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。この場合、スクール代を経費にしても所得税は変わりません。住民税の申告が別に必要かどうかは、住んでいる市区町村に確認してください。

よくある質問

副業を始める前でも領収書は取っておくべき?

取っておいてください。副業を始めた後に開発費として扱える可能性があるからです。副業を始めなかった場合は経費になりませんが、領収書を残しておいて困ることはありません。

パソコン代もスクール代と一緒に経費にできる?

副業に使っている部分は経費にできます。ただし、税大ジャーナルの講演録によると、パソコンは受講料と違って「減価償却資産」として扱います。私用と兼ねている場合は、副業に使う割合だけを経費にします。

スクール代を経費にするには開業届が必要?

副業の雑所得として申告するなら、開業届は必要ありません。開業届を出して事業所得として申告する場合も、帳簿の保存と「事業と言える規模」が必要です。開業届を出しただけで受講料が経費になるわけではありません。

転職のために通ったスクール代は経費にできる?

会社員として転職するためだけに通ったスクール代は、経費になりません。給料は給与所得で、必要経費を差し引く仕組みがないからです。例外は前に書いた特定支出控除ですが、勤務先の証明が必要で、金額の条件も厳しくなっています。

まとめ:受講前に決めておくこと

プログラミングスクール代が経費になるかは、「いつ払ったか」と「副業の収入につながっているか」で決まります。

  • 副業中なら、受講した分を経費にできる
  • 副業前の受講料は、副業を始めた後に60か月で分けて経費にする考え方がある(講演録の個人的見解)
  • 副業収入が少ない年は、経費を入れても税金はほとんど減らない
  • 会社員のみの人は経費にならず、特定支出控除は条件が厳しい

節税を理由に高いスクールを選ぶと、ケースBのように期待との差が出ます。スクール代は「転職や副業で取り返せるか」で判断し、税金の話はその後に考える順番が安全です。独学とスクールのどちらが合うか迷っている人は、IT/Web転職タイプ診断(無料)で傾向を確かめてください。

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参考情報(最終確認日:2026-09-26)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、転職・収入を保証するものではありません。税務上の取扱いは個別の事情によって異なるため、申告の前に税務署または税理士に確認してください。