契約社員スタートの未経験IT求人、正社員登用は本当?確かめ方
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未経験OKのIT求人を見ていると、「未経験の方は契約社員スタート。正社員登用あり」という書き方によく出会います。正社員になれるならありがたい一方で、「登用ありは口だけでは」と迷う人も多いはずです。
結論です。契約社員スタートの求人は、登用の条件と実績を書面や数字で確かめられれば応募してかまいません。 確かめたいのは「何をすれば」「いつ」「何人が」正社員になったかの3点です。答えが「みなさんなっています」という口頭説明だけなら、正社員の求人と並べて比べてから決めてください。
契約社員スタートの求人が多い理由
未経験向けのIT求人で契約社員スタートが多いのは、会社が「働きぶりを見てから無期で雇いたい」と考えるためです。未経験者は入社前に実力を測りにくく、最初の半年〜1年を見極めの期間にする会社があります。
この仕組み自体は違法ではありません。契約社員(有期労働契約)は、1回の契約期間を原則3年までとして結べます(労働基準法14条)。実際の求人では、6か月や1年ごとに更新する形が多く見られます。
注意したいのは、試用期間つきの正社員とは契約の形が違う点です。正社員は最初から期間の定めがない契約です。契約社員は、期間が終わったときに更新されないことがあります。試用期間の部分だけ契約社員になる求人の違いは、試用期間で本採用されないことはある?法律のルールと対策で整理しています。
求人票の読み方 | 未経験の雇用形態
正社員と契約社員スタートの違い
契約社員スタートは、登用条件の書き方で見え方が変わります
| 契約期間 | 正社員になる見通し | 入社前に確かめること | |
|---|---|---|---|
| 正社員(試用期間つき) 最初から無期 | ○ 期間の定めなし | ○ 最初から正社員 | △ 試用期間の長さと延長規定 |
| 契約社員スタート(条件が書面) 基準・時期・実績を確認済み | △ 6か月〜1年ごとの更新が多い | △ 基準を満たせば登用の道がある | ○ 登用の基準と更新の上限 |
| 契約社員スタート(口頭のみ) 「みなさんなっています」 | △ 更新の上限が不明 | × 登用されるか読めない | △ 書面での回答をもらう |
- ※登用の実績は会社ごとに違います。数字は応募先に直接確かめてください
- ※どの雇用形態でも、最低賃金と社会保険の加入ルールは適用されます
IT転職ナビ
応募前に見る求人票の3か所
求人票では、雇用期間・更新の基準・登用の条件の3か所を先に読みます。どれも、書いていなければ質問すればよい項目です。
2024年4月から、会社は募集の段階で「有期労働契約を更新する場合の基準」を示すことになりました。通算の契約期間や更新回数に上限があれば、その内容も含みます(職業安定法施行規則の改正・厚生労働省公式・最終確認日:2026-10-17)。ハローワークの求人では、更新の基準は「雇用期間」の欄に書く形になっています。
求人票を開いたら、次の点を確かめます。
- 雇用期間:1回の契約が6か月か1年か、更新は「あり」か「条件つき」か
- 更新の上限:「通算3年まで」「更新は2回まで」などの上限が書かれているか
- 登用の条件:「1年後に登用試験」「評価により登用」など、時期と方法が書かれているか
更新の上限が「通算1年まで」と書かれているのに、登用の条件が書かれていない求人は要注意です。1年で正社員になれなければ、そこで契約が終わる形だと読めます。上限そのものが悪いわけではありません。上限と登用の条件がセットで書かれているかを見てください。
面接で確かめる5つの質問
登用が本当にあるかは、面接や面談で数字を聞くと見えてきます。聞くのは失礼ではなく、入社後の働き方を考えるための確認です。
聞いておきたいのは、次の5つです。
- 登用の時期:何か月目に、どんな方法(面談・試験・評価)で決まるか
- 登用の基準:何ができれば正社員になれるか、評価の項目は何か
- 過去の実績:直近1〜2年で、契約社員から何人入り、何人が正社員になったか
- 登用されなかったとき:契約は更新されるのか、そこで終わるのか
- 正社員になった後の条件:給与や賞与、職種や勤務地は変わるか
3つ目の実績は、割合より人数で聞くと答えの具体性が分かります。「10人入って8人登用」と答えられる会社と、「ほとんどの人がなっています」としか言えない会社は、仕組みの整い方が違います。
面接で聞きにくければ、内定が出た後の条件確認の場で聞いてもかまいません。メールで送るなら、たとえば次のような文面です。
契約社員から正社員への登用について確認させてください。登用の時期と判断の基準、直近の登用実績を教えていただけますでしょうか。入社後の目標を立てる参考にしたいと考えています。
回答は口頭で終わらせず、メールなど記録に残る形でもらいます。入社後に「聞いていた話と違う」となったとき、確かめる材料になるためです。内定後に届く書類の読み方は、内定後の労働条件通知書、未経験が見る3点にまとめています。
正社員になれなかったときのルール
登用されなかったときに知っておきたい法律のルールは、3つあります。どれも、会社の言い分だけで終わらせないための知識です。
1つ目は、無期転換のルールです。 同じ会社との有期契約が更新されて通算5年を超えると、本人が申し込めば期間の定めがない契約に変わります(労働契約法18条)。会社は申し込みを断れません。ただし、無期になるのは契約期間だけです。給与などの条件は、別の定めがなければ契約社員のときと同じで、正社員と同じになるわけではありません。
2024年4月からは、この無期転換を申し込める更新のときに、申し込みの機会と転換後の条件を会社が書面で示すことになりました(労働基準法施行規則の改正・厚生労働省公式・最終確認日:2026-10-17)。
2つ目は、雇止めのルールです。 何度も更新されてきた契約や、更新されると期待するのに合理的な理由がある契約は、会社が自由に打ち切れません。打ち切りに客観的で合理的な理由がなく、社会通念上も相当といえないときがあります。その場合は、同じ条件で更新したものとみなされます(労働契約法19条)。面接で「登用されなかった場合も更新します」と言われていたなら、その記録が期待の根拠になります。
3つ目は、契約期間の途中の扱いです。 会社は、やむを得ない事由がなければ、契約期間の途中で契約社員を解雇できません(労働契約法17条)。逆に、自分から期間の途中で辞めるときにも制約があります。1年を超える契約なら、1年を過ぎた後はいつでも辞められます(労働基準法137条)。辞めるときの考え方はSESを辞めたい…案件の途中でも辞められる?でも扱っています。
会社には、契約社員が正社員になる道を用意する義務もあります。正社員を募集するときに社内の契約社員へ知らせる、登用試験の制度を作るといった措置のどれかを講じなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法13条)。「登用制度はあるが一度も実施されていない」なら、人事に募集の時期を聞いてかまいません。
応募するか迷ったときの判断の目安
契約社員スタートの求人に応募するかは、正社員の求人と比べて決めます。契約社員スタートだから避ける、という決め方はもったいない場合があります。
応募してよい目安は、次の3つがそろうときです。
- 登用の時期と基準を、面接やメールで具体的に答えてもらえた
- 直近の登用実績を、人数で教えてもらえた
- 仕事の中身(開発・運用・テストなど)が、自分の目指す方向と合っている
反対に、次のどれかに当てはまるなら、正社員の求人を先に探したほうが安全です。
- 登用の質問をすると話をそらされる、答えがあいまい
- 更新の上限が短いのに、登用の条件が書かれていない
- 契約社員の期間中、仕事の中身が電話対応や単純作業だけと説明された
最後の点は、見落としやすいところです。正社員になれても、1年間の仕事で技術が身につかなければ、次の転職で書ける経験が増えません。会社の育て方を見る質問は、求人票の「研修充実」はどこまで信じていい?でも紹介しています。
正社員の求人も並べて比べたいのに、自分だけでは探しきれない人もいます。その場合は、未経験のIT就職を扱う就職サポートで相談する方法があります。契約社員スタートの求人を受けるかどうかの判断材料にもなります。
どの職種や会社のタイプが合うか先に整理したい人は、IT/Web転職タイプ診断(無料)も使えます。
よくある質問
Q. 「正社員登用あり」と書いてあれば、いずれ正社員になれますか?
A. 書いてあるだけでは分かりません。「登用あり」は制度があるという意味で、全員がなれるとは限らないためです。登用の時期・基準・直近の実績人数を面接で聞き、メールなど記録に残る形で答えをもらってください。
Q. 契約社員のまま5年働けば、正社員になれますか?
A. 通算5年を超えて更新されていれば、申し込むことで期間の定めがない契約に変わります(労働契約法18条)。ただし変わるのは契約期間で、給与などの条件は別の定めがなければ契約社員のときと同じです。正社員と同じ待遇になるわけではありません。
Q. 登用試験に落ちたら、すぐに契約を切られますか?
A. 契約の更新の基準と上限によって変わります。更新の上限があり、その時点で上限に達するなら、契約が終わることがあります。上限がなく何度も更新されてきた場合などは、会社が自由に打ち切れないルールがあります(労働契約法19条)。納得できない場合は、総合労働相談コーナーに記録を持って相談してください。
Q. 契約社員スタートだと、職務経歴書で不利になりますか?
A. 雇用形態より、何の仕事をどれだけしたかが見られます。開発や運用の実務を1年続けて、担当した作業を具体的に書ければ、次の転職で使える経験になります。書き方は職務経歴書と志望動機の書き方を参考にしてください。
まとめ
契約社員スタートの未経験IT求人を見つけたら、次の順で確かめます。
- 求人票で、雇用期間・更新の上限・登用の条件の3か所を読む
- 面接で、登用の時期・基準・実績人数・不登用のときの扱い・登用後の条件を聞く
- 回答はメールなど記録に残る形でもらう
- 無期転換(通算5年超)と雇止めのルールを知っておく
- 答えがあいまいなら、正社員の求人と並べて比べてから決める
あわせて読みたい
参考情報
- 労働契約法(17条・18条・19条)|e-Gov法令検索
- 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(13条)|e-Gov法令検索
- 労働基準法(14条・137条)|e-Gov法令検索
- 2024年4月から労働条件明示のルールが変わります|厚生労働省
- 令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます|厚生労働省
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、転職・収入を保証するものではありません。労働条件や法令の適用は個別の事情によって判断が変わるため、具体的な問題は総合労働相談コーナーなどの公的窓口や専門家にご相談ください。